6月季報 ~種なしぶどう~

投稿日:2018年6月17日

梅雨…ジメジメとしております。
天気予報を何個もチェックしているのですが、雨予報が快晴だったり、晴れの予報が大雨だったり

この時期の予報は良くも悪くも当たりません…まぁこれは日本の気候的にしょうがないですね。

今回は季報も兼ねて、作業真っ只中のぶどうから「ぶどうの種がなぜ無くなるのか」をご紹介したいと思います。
※専門的な部分を省くため、正確な情報とは矛盾がでてしまう可能性があります。

あくまでイメージとして捉えていただければと思います。

果物には種が入ります。ぶどうも例外ではありません。
種にはその植物の子孫を残すという大きな役目がありますが、もう1つ、特に果物を食べる人間(動物)にとって重要な役目があります。
それは「果実の成長を促進させるホルモンの分泌」です。
種から成長ホルモンがでることで、果実は大きく、味が良く(甘く)なります。
果実を大きくすることで種子の保護ができ、味を良くすることで動物に実を食べてもらいやすくなります(→種子の運搬)
種が出す成長ホルモンの中に「ジベレリン」という成分があります。
種が生成される前にこのジベレリンを人工的に外部から与えることで、成長を促進させるのが種無しぶどうの原理になります。
人間が種の役割を担うのです。
ジベレリン錠剤を規定量の水で薄め、ぶどうの満開時とその2週間後の2回、実を液剤に浸漬させます。

当園に限らず、全ての種無しぶどうはこの処理が行なわれます。

3日~1週間ほどで効果があらわれ、粒がグングンと大きくなっていきます。

これが…

こうなります。

文章で書くとなにやら怪しいことをしている感じがするでしょうか?(笑)

安全性等ご心配される方もいるかと思いますので少し詳しく解説します。
・先述したとおり、ジベレリンは種から分泌される成分で、自然界に存在している物質です。仮に人体に入っても影響を及ぼすものではありません。
・人工的に使用するジベレリンは登録上「薬剤」となりますが、「ホルモン剤」で有害なものは含まれていません。
・ホルモン過剰による異常な生育を防ぐ為、使用回数・濃度・時期など細かく取り決めがなされ、厳格に管理されています。
・効果があらわれる期間は限られていますので、残留等の心配はありません。(ぶどうとして出荷される際には完全に消失しています)
もともと薬剤としてのジベレリンは柑橘類の落果防止や木の生長のコントロールに使われていたそうで、ぶどうで種が無くなるというのを発見したのは偶然だったそうです。
種無しぶどうができて半世紀以上、いまとなっては「種ありぶどう」のほうが少なくなってきましたね。
悪目立ちしてしまう農業の薬剤たちですが、こういった使われ方をする安全なものもある。というのをご紹介したく、今回の記事を書きました。
長文、乱文となってしまい申し訳ありません。こういったものを文章化するのは難しいです…